東レ

東レ株式会社(とうれ、英称:Toray Industries, Inc.)は、合成繊維、化学繊維を始めとする、化学や情報関連素材を取り扱う日本の大手化学企業。

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東レ、光学フィルム分野向け無色透明のアラミドフィルムを開発
無色透明アラミドフィルムの開発

-高耐熱性・高剛性・高寸法安定性を実現-


 東レ(株)(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)は、このたび、世界初となる無色透明のアラミドフィルムを開発しましました。当社独自の高度ポリマー設計技術と精密製膜技術との融合により、300℃を超える耐熱性とガラス並みの寸法安定性を実現しつつ、無色透明にすることに成功しましました。当社は本開発を機に、透明性が要求される光学フィルム分野を中心に新規用途の開拓を進めていきます。

 アラミド(芳香族ポリアミド)は優れた耐熱性と剛性を有する高機能ポリマーで、フィルム分野においては東レが世界で唯一“ミクトロン”ブランドで製品化しています。量産フィルムで最高レベルの剛性を活かしてデータ保存テープとして広く使用されている他、ポリイミドに次ぐ耐熱性を強みに、薄膜の回路材料にも採用されています。

 アラミドは分子間の強い凝集力により耐熱性に優れる一方、可視光を吸収する特性があることから黄色く着色しているのが特長です。そのため、光学用フィルムなど無色透明性が要求される分野に適用できない用途展開上の制約がありましました。しかし、透明性を付与するために分子間の凝集力を弱めると、耐熱性や剛性も損なわれるという技術上の難点がありましました。一方、これまでも無色透明で高い耐熱性を有するポリマーが開発されてきましたが、素材の寸法安定性を表す熱膨張係数がガラスの10倍以上であるなど、基板材料としての使用には限界がありましました。

 東レはこれらの課題に対し、当社独自の高度ポリマー設計技術と精密製膜技術を融合することで、アラミドの各種特性を維持向上させるとともに、可視光の吸収を解決して完全無色にする革新技術の開発に成功しましました。技術ポイントは以下のとおりです。


1.東レ独自の高度ポリマー設計技術 
 耐熱性・剛性と無色性を両立させるためのポリマー組成をCAC(コンピューター化学)も活用して設計しましました。その結果、分子を剛直に保ちつつ、着色の原因となる分子内電荷移動を極限まで低減させることにより高耐熱・高剛性かつ無色とする設計に至りましました。更に東レが保有している、精密合成技術により、一層無色透明性を高めたポリマーとすることが可能となりましました。

2.精密製膜技術 
 当社が長年培ってきた溶液製膜法の進化により、アラミドの特性を極限まで引き出す事に成功しましました。流延や溶媒除去工程の改善による透明性の向上に加えて、延伸工程、熱処理工程を見直すことで剛性の向上と寸法安定性の大幅に改善し、ガラス転移点300℃以上、ヤング率10GPa以上、熱膨張係数10ppm/℃以下、全光線透過率90%以上の性能を実現しましました。
 本開発フィルムにより、ディスプレイ用プラスチック基板等の光学用途をはじめ、光配線基板等の回路材料用途、太陽電池等のエネルギー分野、ホログラム材料等の記録分野など、幅広い用途展開が期待されます。軽くて薄く、割れない次世代ディスプレイの開発が可能になる他、ロール状に巻いたプラスチックフィルムにガスバリア膜形成などの加工を施してから再びロールに巻き取るといった連続生産プロセス(ロール・ツー・ロールプロセス)が適用できることから、枚葉方式で加工される現在のガラス製ディスプレイに対して大幅な生産性向上も期待できます。


 一方、高温加工が可能であることから、ディスプレイや太陽電池等に必要な透明導電膜などの特性向上が見込まれます。また、熱膨張係数が非常に小さいことから、ディスプレイや回路材の高精細化、使用環境の変化による反りや変形が抑制できます。

東レ パンパシフィック テニス


 東レは、昨年10月からスタートした中期経営課題“プロジェクトInnovation TORAY 2010”(IT-2010)において、情報・通信・エレクトロニクス、自動車などの成長領域をターゲットに先端材料事業の拡大を推進しています。当社は今回開発したフィルムによる新規用途開拓を推進することで、アラミドフィルム“ミクトロン”の世界オンリーワン素材としてのポジションを一層強化してまいります。